交通事故によりご家族を亡くされたご遺族のみなさま、心からお悔やみを申し上げます。
交通事故でご家族を亡くされた場合、ご遺族が悲しみに暮れている最中にも、葬儀の手配をはじめ、警察とのやりとりや損賠賠償請求に関する保険会社とのやりとりなど、様々な対応が求められます。そういった中での保険会社からの交渉に耐えかねて、不当な示談に応じてしまう方も少なくありません。
また、死亡事故の場合には相続の問題が生じます。相続人は誰になるのか、遺族で話し合いがまとまらないといったことで頭を悩ませる依頼者の方も多くいます。また、賠償金を受領したうえで法定相続分に応じて賠償金を分配する必要がある場合もあります。
グリーンバックス法律事務所では、ご遺族の代理人として、相手保険会社との連絡交渉窓口をお引き受けして損害賠償請求を代行するほか、ご要望があれば相続に関する問題にも対応対応し、ご遺族の負担を少しでも減らすサポートをさせていただきます。
交通事故の死亡事故では、被害者の損害賠償請求権がご遺族へと相続されるため、ご遺族(被害者の相続人)が賠償請求をする必要があります。
損害賠償の請求権には時効もあり、請求・交渉を行わないまま長期間が経過してしまうと、賠償が受けられなくなってしまう可能性もありますので、早めのご相談をおすすめします。
死亡事故の場合に加害者に対して請求できる損害としては、主として死亡逸失利益と死亡慰謝料が挙げられます。
死亡逸失利益とは、被害者が生存していれば得られたはずの利益のことをいいます。「生存していれば」という仮定を前提とするため、統計値に基づく平均余命を参考とし、死亡時の年齢から平均余命年齢までの年数を基礎として算定することとされています。
また、算定の基礎となる収入は、基本的には事故直前期の実際の収入を参考とすることになりますが、とくに若年者の場合は死亡時に未だ収入を有していなかったり、将来の就職、昇進、転職等によって死亡時の収入より高い収入を得られた可能性もあり得ることから、統計値(賃金センサス)による平均収入額を基礎とする場合もあります。高齢者の場合は、年金収入の逸失利益性や逸失利益として認められる範囲などが争点となることがあります。
一方で、死亡逸失利益の算定においては、生存していれば生活のために要したはずの支出も考慮する必要があるため、「生活費控除率」がどのように評価されるかも重要となります。
死亡逸失利益の算定・主張にあたっては、実務上の争点に関する様々な専門的知識が必要となりますので、適切な算定方法による十分な賠償を受けるためにも、まずはご相談ください。
死亡慰謝料は、厳密には、①死亡という結果を被ったことによる本人の精神的苦痛を評価した慰謝料(本人慰謝料/相続対象)と、②親族を亡くしたことによる遺族の精神的苦痛を評価した慰謝料(遺族固有慰謝料)の二つに分類され、これらを合わせて死亡慰謝料と総称しています。このうち、②の遺族固有の慰謝料は、基本的に、亡くなった被害者と近い親族に当たる方にのみ認められます。
以上のとおり、死亡慰謝料は本人分と遺族分に分類されますが、実務上の損害賠償基準(裁判で参考とされる基準)を示す専門書籍(いわゆる赤い本)では、上記の二つを総合した死亡慰謝料の総額の目安額を、被害者の地位に応じて、次のとおりとしています。
一家の支柱 | 2,800万円 |
---|---|
母親、配偶者 | 2,500万円 |
その他 | 2,000万円~2,500万円 |
もっとも、実際の裁判では、上記目安額よりも高い額が認定されることも少なくなく、また、亡くなった被害者が「その他」の類型に該当する場合には目安額自体に幅があることから、上記基準(目安)の存在にかかわらず、死亡慰謝料としていくらが相当かという点は大きな争点の一つとなります。
交通事故で怪我を負った場合、継続的な治療を行ったとしても完治に至らず、なんらかの症状(いわゆる後遺症)が残ることがあります。
治療を継続しても症状が完全には消失せずに横ばい状態となり、治療によってはこれ以上の改善効果が見込めない状況に至ることを「症状固定」といいます。
また、交通事故損害賠償実務においては、症状固定に至った後遺症のうち、自賠法が等級表に定める障害類型に該当するものを「後遺障害」と呼んでいます。
ここで重要なのは、何らかの後遺症が残ってしまった場合でも、基本的には、その症状が「後遺障害」に該当する場合にはじめて、これによる損害(後記「後遺障害による損害」参照)が賠償されるという点です。つまり、何らかの症状が残っていても、後遺障害等級に該当すると認められなければ、原則として、何の症状も残らなかった(治癒した)場合と同等の賠償しか受けられないとことです。
また、後遺障害に該当する場合であっても、どの等級に該当するかよって取得し得る賠償額も大きく異なります。
このように、後遺症が残ってしまった場合は、その症状が後遺障害に該当すると認めてもらえるか、どの等級に該当すると認めてもらえるかが極めて重要です。
実務上は、残存した症状が後遺障害に該当すると認定されるか、どの等級に該当すると認定されるかによって十分な賠償を受けられるかどうかに直接影響しますが(後記「後遺障害による損害」参照)、この等級審査は、基本的には加害者加入の自賠責保険会社(厳密にはそこから審査を委託された損害保険料率算出機構という中立機関)が行うこととなっています。
そのため、自賠責から適切な等級認定を得られるかが極めて重要となるわけですが、自賠責による審査においては、症状の部位や性質に応じた様々な障害の類型ごとに認定基準が存在しており、後遺障害診断書やその他の医療記録から認定することのできる症状の内容が、この基準を満たすか否かという視点で審査・認定が行われています。
したがって、適切な等級認定を得るためには、予め具体的な認定基準や審査において重視される点を踏まえ、治療を行っている最中から、症状が残存した場合に備えて、予め可能な範囲で対策を講じておくことが重要です。
事故で怪我を負った場合、受診初期にご相談いただければ、上記の点に関する詳細をご説明させていただくことで、重要なポイントを踏まえて治療に臨むことができるというメリットがあります。安心して治療に専念いただくためにも、早めのご相談をおすすめします。
すでに後遺障害診断を受けて自賠責による等級認定結果の通知も受けている段階の方もいらっしゃると思います。
等級認定結果が適切といえるものであれば問題ありませんが、特に等級に該当しないと判断された場合など、なかには認定結果に納得ができないケースもあるでしょう。
このように、自賠責による認定結果に不服がある場合、自賠責に対する異議申立(再審査請求)や訴訟によって認定の見直しを求めるという方法があります。
もっとも、一度専門機関によって行われた認定を覆すためには、多くの場合、それに足りる有力な追加資料を収集・提出する必要があり、容易ではありません。
グリーンバックス法律事務所では、これまでに異議申立等を行って等級認定の上方修正を実現した実績も多々あります。ケースごとに認定見直しの見込みや必要な準備を含め、検討・助言させていただきますので、まずはご相談ください。
後遺障害が認められる場合に加害者に対して請求できる金銭としては、主として後遺障害逸失利益と後遺障害慰謝料が挙げられます。
後遺障害逸失利益とは、後遺障害があることによって喪失することが想定される将来の利益のことをいいます。
利益とは、基本的には推定収入のことを指しますので、言いかえると、事故前の身体であれば得られたはずの将来収入(推定収入)と比較して、後遺障害が残ったことにより減ると考えられる額が後遺障害逸失利益です。
このように、将来の収入に関する利益の問題ですので、実務上は、基本的に後遺障害によりどの程度労働(就業労働だけではなく家事労働を含む)に支障(制限)が生じるかを数値(労働能力喪失率)で評価し、収入額にこの労働能力喪失率を掛けて算出される額が逸失利益として認定されています。
例えば、年収が400万円で、後遺障害による労働能力喪失率が20%と評価される場合、単純計算だと(※注)、400万円×20%=80万円が1年あたりの逸失利益ということになります。
※注 実際には、「ライプニッツ係数」という専門的な数値を用いて計算されるため、単純計算による額よりも低い額になります。
また、上記のように労働能力に関する問題ですので、利益(収入)の逸失が想定される期間は、(症状固定時の年齢から)労働が可能な年齢(就労可能年齢)までの間ということになりますが、この就労可能年齢は実務上、原則として67歳とされています。
例えば、症状固定時に45歳の人の場合は、67歳-45歳=22年間が逸失利益の発生が想定される期間(労働能力喪失期間)ということになります。
症状固定時にすでに67歳を超えて労働している人の場合には、平均余命の2分の1に相当する年数を労働能力喪失期間とすることとされています。
このように、後遺障害逸失利益の算定方法自体は、実務上決まっているわけですが、算出される額との関係では、計算式の中で採用される「労働能力喪失率」がいかに高く評価されるかが極めて重要と言えます。
実務上、この労働能力喪失率は、一部の特殊な後遺障害の場合などを除き、基本的には、後遺障害等級ごとにほぼ一律に評価される傾向にありますので(後記【表】参照)、どの等級に該当すると認定してもらえるかが賠償額に大きく影響するということになります。
後遺障害慰謝料とは、後遺障害が残ったこと(将来にわたり後遺障害のある身体での生活を余儀なくされること)による精神的苦痛を金銭評価したものをいいます。
将来にわたり事故前の健康な身体を取り戻せないことについての精神的苦痛ですから、おおよそ金額では評価しきれないと言いたいところですが、損害賠償額を算定するには金額評価せざるを得ず、また同じレベルの後遺障害にもかかわらず人によって慰謝料額に大きな差を設けるわけにもいきません。
そこで、実務上は、この後遺障害慰謝料についても、基本的に、後遺障害等級ごとにほぼ一律に評価される傾向にあります(後記【表】参照)。
したがって、ここでも、結局のところ、どの等級に該当すると認定してもらえるかにより、賠償額に直接影響するということになります。
後遺障害の 該当等級 |
労働能力 喪失率(※1) |
自賠責で保障される 保険金額(※2) |
後遺障害慰謝料の 裁判基準額(※3) |
---|---|---|---|
1級 | 100% | 3000万円 | 2800万円 |
2級 | 100% | 2590万円 | 2370万円 |
3級 | 100% | 2219万円 | 1990万円 |
4級 | 92% | 1889万円 | 1670万円 |
5級 | 79% | 1574万円 | 1400万円 |
6級 | 67% | 1296万円 | 1180万円 |
7級 | 56% | 1051万円 | 1000万円 |
8級 | 45% | 819万円 | 830万円 |
9級 | 35% | 616万円 | 690万円 |
10級 | 27% | 461万円 | 550万円 |
11級 | 20% | 331万円 | 420万円 |
12級 | 14% | 224万円 | 290万円 |
13級 | 9% | 139万円 | 180万円 |
14級 | 5% | 75万円 | 110万円 |